きっかけは「ものづくり補助金」
きっかけは2017年、「ものづくり補助金」を活用しShopBotの導入計画を立てたことから始まります。申請書を書く過程でShopBotを所有されている施設を見学させて頂き、実機の説明やデモをして頂きました。見学させて頂いた感想は
『これ、多分、普通に作れると思う』
でした。架台こそスチール製でゴツい感じでしたが、その架台の上に乗っかっているのはアルミフレームで構築された構造物。気になっていた摺動部もX軸・Z軸はボールネジでしたがY軸はラックピニオン、値段が値段なだけにもっとリッチな作りかと思っていました。
制御部や使用ソフトウェアなども特殊な物ではなく一般的な制御だったので『少なく見積もっても同等機は作れる』と思いました。結果、補助金は採択ならずで、ここからオリジナルの大型CNCルーター製作計画が始まるのでした。
不採択から約2年の月日が流れ・・・。
かねてより計画していた大型CNCですが、ついに2019年12月より有志3人で設計を始めました。メンバーは自分を入れて機械屋3人。うち2人は電気周りや制御周りは不得意ではありましたが、そこは自分が1人で受け持つことで進めていきました。
配線をまとめたり、見た目を小綺麗にするお化粧作業はありますが、最終キャリブレーション終了にて、一応の完成となりました。動作に関しては及第点を上回る物ができました。
- 外形サイズ :3000(D)x2000(W)x1600(H)
- ワークエリア:2500(Y)x1300(X)x 200(Z)
- スピンドル :3kw (18000rpm)
- ステッピングモータ:NEMA34(12Nm)
- コントローラ:HiCON Integra 7866
作業工程
大まかな作業工程です。途中、新型コロナウイルスの蔓延の影響で、海外へ発注した部品がシンガポールの空港で足止めをくらい、5月末〜6月上旬発注の物が8月に届くというかなりの待ち惚けを喰らいました。手配していたZステージが一向に届く気配がなかったため、辛抱たまらず自分で設計したものをMISUMIのMeviyで製作したり、余分な買い物をしてしまいました。予定ではお盆に完成予定だったので、ちょっとフラストレーション溜まりました。
作業工程
- 2019年12月下旬:基本構造検討
- 2020年1月上旬:BOM製作
- 2020年2月中旬:購入先検討、コスト計算
- 2020年3月上旬:ベースフレーム関連パーツ発注,フレーム製作
- 2020年3月中旬:長尺リニアガイド・ボールネジ発注(中国)
- 2020年4月上旬:長尺リニアガイド・ボールネジ通関手続き、検査、輸送
- 2020年4月下旬:ガントリー部構造変更,部品再選定
- 2020年5月上旬:ガントリー部関連パーツ発注
- 2020年5月上旬:ガントリー部仮組み
- 2020年5月下旬:ステッピングモータ,スピンドル,CAMコントローラ,他,発注
- 2020年6月全期:新型コロナの影響で海外からの部品がシンガポールでストップ
- 2020年8月上旬:シンガポールで止まっていた荷物が到着
- 2020年8月中旬:ガントリー部製作・組付け完了
- 2020年8月下旬:コントローラ(HiCON Integra)メーカ発注
- 2020年8月上旬:ケーブル,コネクター,その他,発注
- 2020年9月上旬:Zステージ製作
- 2020年9月中旬:火入れ,初回動作確認
- 2020年9月下旬:動作確認,調整完了
- 2020年10月上旬:スポイルボード取付,フライス
- 2020年10月中旬:最終キャリブレーションにて大型CNCルータ完成
- 2020年10月下旬:初作品製作完了
半年間、作業に没頭していた為、途中経過をアップできず、いきなりの完成品公開ですが、写真や動画は撮り溜めていますので、今後ボチボチ途中経過をまとめながら製作記事を書いていこうかと思います。
半年のメモリアルムービー
iPhoneのアルバム機能で作ったメモリアルムービーですが、出来が良かったので公開します。振り返ってみると、ほんと色々ありました。おかげでCNC製作に関する知識がかなり付いたと感じます。今後もオリジナルのミリングマシンや3Dプリンタなんかも作り込もうと考えていますが、まずは投資した資金を回収する事が先決かな。