レーザー加工:やっと分かった!ベクターとラスターの違い
『ベクターデータでよくある勘違い』をきっかけに、『レーザーヘッドの動き』を元に『**ベクターとラスターの違い』**について再度学習した内容を、備忘録としてまとめてみました。言葉では分かっていても、実際に加工をしてみないと理解できないこともあったと痛感しています。この記事が同じように困っている方への参考になれば、嬉しいです。
『ベクター形式』と『ラスター形式』の違い
画像形式(ベクターとラスター)は、それぞれ違う特徴を持つため、レーザー加工内容により最適の形式を選ぶ必要があります。
ベクター形式 | ラスター形式 | |
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特徴1 | 点+線+パスなどを** 数値化されたデータ** | 非常に小さな四角(ピクセル) の集合体 (ドット絵のようなもの) |
特徴2 | 文字、図形、イラストやアイコン、ロゴ向き | 写真などに適している。 濃淡・微妙な色の変化の画像が得意。 |
特徴3 | 拡大しても境界線がなめらか | 拡大や縮小には適さない 【拡大】:輪郭がガタガタになる 【縮小】:情報消失の恐れ |
ファイル 拡張子 | ・SVG(エズブイジー) ・EPS(イーピーエス) ・AI(エーアイ) | ・PNG(ピングー) ・JPG(ジェイペグ) ・GIF(ジフ) ・BMP(ビットマップ) |
ソフトウェア | Draw(ドロー)系ソフトウェア Illustratorなど | PAINT(ペイント系)ソフトウェア Photoshopなど |
レーザー加工 | ベクター彫刻 レーザーカット(切断) | ラスター彫刻 |
『ベクター加工』と『ラスター加工』の違い ※レーザー加工機
ベクター加工 | ラスター加工 | |
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レーザー加工 | 切断・彫刻 | 彫刻 |
レーザーヘッドの動き | 示された線をなぞって加工 | X軸方向に水平走査を繰り返して加工 |
レーザー光の出方 | 始点から終点に向かって連続 (定規やコンパスなどで線を描くイメージ) | ピクセル毎にスポット (グラフ用紙のマスを1マスずつ塗りつぶすイメージ) |
特徴 | 無駄のない動きのため短時間で加工できる | 濃淡・微妙な色の変化の彫刻が得意だが時間はかかる |
向いている作品例 | 図形などのカットや彫刻 | 濃淡・微妙な色の変化の画像の彫刻 |
今回の機材・ソフト
- 使用機材:FABOOL Laser CO2(CO2レーザー加工機)
- 使用ソフト: SmartDIYs Creator
- データ作成ソフト: Illustrator
ベクターデータでよくある勘違い
『ベクターデータでよくある勘違い』をした。それは、『Illustratorで作る際に線幅の太さを変え、ベクター形式で書き出せば、レーザー加工時に線が太く・細くなる』という勘違いだ。
実際は、ベクター加工では『レーザーはパスに沿って設定したパラメータ通りに出力されます』。そのため、加工データをIllustratorで作る際に線幅を変えて見かけ上の太さを変えても、レーザー加工時に太くも細くも加工されません。
レーザーヘッドの動き
ベクター加工 | ラスター加工 | |
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連続してレーザー照射しながら、 パスに沿って動く | 左右に動きながら、 1ピクセルずつスポット照射 (上から下へ1ラインずつ加工) | |
線 加工イメージ | ![]() | ![]() |
図形(塗りつぶし)の 加工イメージ | ![]() | ![]() |
まとめ・感想
- 言葉では分かっていても、実際に加工をしてみないと理解できないこともあったと痛感した。
- ベクターとラスター、それぞれのレーザーヘッドの動きについて、やっと分かった気がする。