ターミナルの起動・使い方・基本的なコマンド[初級]
プログラミングやバージョン管理を行う際、OSやVS Codeなどの開発環境に搭載されているターミナルやコマンドラインツールで作業をする事があります。使い方を備忘録として簡単にまとめてみました。
ターミナルとは?
ターミナルは、コンピュータをテキストベースで操作するための「司令室」のようなものです。マウスやアイコンで操作するGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)とは異なり、コマンドと呼ばれる命令文を直接入力することで、コンピュータに指示を与えます。プログラミング、Web開発、サーバー管理など、多岐にわたる分野で必須のツールであり、高度な作業や自動化を効率良く行えます。最初は少し難しく感じるかもしれませんが、基本的な使い方を覚えることで、あなたのコンピュータスキルは飛躍的に向上するでしょう。
ターミナルの起動
ターミナルの起動は、使用しているオペレーティングシステムによって異なります。
以下は、一般的なオペレーティングシステムにおけるターミナル(mac, Linux)またはコマンドプロンプト(windows)の開き方を説明します。使用しているオペレーティングシステムやバージョンによっては、手順がわずかに異なる場合があります。
Windows:
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**Git Bash**などサードパーティのソフトウェアを使用
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Windows Subsystem for Linux (WSL): スタートメニューをクリックし、検索ボックスにWSLのディストリビューション名(例:「Ubuntu」)を入力し、選択します。
Linux(Ubuntuなど):
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ショートカットを使用する: Ctrl + Alt + T キーを同時に押します。
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アプリケーションメニューから開く: アプリケーションメニューを開いて「Terminal」または「ターミナル」を検索・選択します。
macOS:
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Spotlightを使用する: Command + Space キーを同時に押してSpotlightを開き、「Terminal」と入力して検索結果から選択します。
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アプリケーションフォルダから開く: アプリケーション > ユーティリティ > ターミナル を選択します。
【例】macOS:
アプリケーション > ユーティリティ > ターミナルapp を開く
起動後、以下のターミナルが現れます。
ターミナルの基本的な使い方
基本的なコマンド入力:
ターミナルが起動すると、プロンプトが表示されます。これは、システムがユーザーコマンドの入力を待っている状態です。ここにコマンドを入力し、Enterキーを押すと、コマンドが実行されます。
【例】
ls
コマンドのオプションと引数:
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ほとんどのコマンドにはオプションや引数を指定することができます。
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オプションは通常 - または — で始まる文字列で、コマンドの動作を変更することができます。
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引数は通常、コマンドが作用する対象(例: ファイルやディレクトリ)を指定するためのものです。
【例】
ls -l
コマンド履歴の利用:
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↑ キー: 以前に入力したコマンドを表示します。
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↓ キー: 次のコマンドを表示します(存在する場合)。
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history コマンド: 最近実行したコマンドの一覧を表示します。
タブ補完:
コマンドやファイル名の入力中に Tab キーを押すと、ターミナルが自動的に名前を補完してくれます。これは、特に長いファイル名やディレクトリ名を入力する際に非常に便利です。
【例】
cd Doc[Tab]
と入力すると、Documents という名前のディレクトリがあれば、それに補完されます。
コマンドの中止
Ctrl + C: 実行中のコマンドを中止します。
コマンド チートシート(必要最低限)
ここでは、ターミナル操作でよく使う基本的なコマンドを厳選してご紹介します。これらのコマンドを覚えるだけで、ファイルの閲覧や移動、簡単な操作ができるようになります。
注意
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これらのコマンドは、多くのUnixライクシステムやLinuxディストリビューションで一般的ですが、使用する特定のシステムや設定によっては異なる場合があることに注意してください。
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**現在いる場所のみコマンドを反映(実行)**できます。
ディレクトリの操作:
pwd | カレントディレクトリまでのパスを表示 |
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cd | 他のディレクトリに移動(例: cd ディレクトリ名) |
cd .. | 1つ上のレベルのディレクトリに移動 |
mkdir | 新しいディレクトリを作成 「**mkdir 新しいディレクトリ名」**で実行。(例: mkdir sample) |
rmdir | ディレクトリを削除します。(中身が空の場合のみ) ※このコマンドで削除したファイルはゴミ箱には入らず、また警告等も出ませんので、 十分注意して実行する。誤って重要なファイルを削除してしまった場合、 コンピュータが起動しなくなる可能性もあります。 |
ファイルの操作:
ls | カレントディレクトリの内容をリストアップ 【オプション】: ls -l (詳細表示), ls -a (隠しファイルを含む) |
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cp | ファイルまたはディレクトリをコピー、cp [source] [destination] |
mv | ファイルまたはディレクトリを移動、または名前を変更mv [source] [destination] |
rm | ファイルを削除 ⚠︎ 注意:一度削除したファイルは基本的に元に戻せません。慎重に実行してください。 【オプション】: rm -r (ディレクトリとその中身を削除), rm -f (強制削除), rm -i (削除時確認) |
find | ファイルやディレクトリの検索 |
cat | ファイルの内容を表示 |
その他の操作:
man | コマンドのマニュアルを開く (例:man ls) |
---|---|
clear | コマンドの出力結果(表示された文字)を全て消去 |
ディレクトリの表し方:
. | カレントディレクトリ(現在いる場所のディレクトリ) |
---|---|
.. | 親ディレクトリ(1つ上のレベルのディレクトリ) |
~ | ホームディレクトリ(ログイン直後にいるディレクトリ) |
../../ | 親ディレクトリの親ディレクトリ(2つ上の階層のディレクトリ) |
ディレクトリは、ファイルを整理するための「フォルダ」のようなものです。
ターミナルを使う上での注意点と危険なコマンド
ターミナルは非常に強力なツールですが、その分、誤った使い方をするとシステムに深刻なダメージを与える可能性があります。
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コマンド実行前の確認:
rm
やsudo
など、システムに影響を与えるコマンドは、その内容と対象を必ず二度確認しましょう。 -
**管理者権限での操作 (
sudo
):**システムに影響を与えるコマンド(特にsudo
を使用する場合)を実行する前に、そのコマンドが何をするかを十分に理解することが大切です。間違ったコマンドはデータの損失やシステムの破損を引き起こす可能性があります。使用する前に二度考えることが重要です。 -
データのバックアップ: 重要なファイルやデータに作業する前には、必ずバックアップを取るようにします。
rm
やその他のデータ変更コマンドは、実行した時点で元に戻すことができません。 -
エラーメッセージ: ターミナルは、コマンドがなぜ失敗したのかを説明するエラーメッセージを提供します。コマンド失敗時のエラーメッセージは問題解決のヒントです。内容を理解し、必要であればWeb検索で調べましょう。
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最新情報の確認:コマンドやツールの使用方法はOSのバージョンアップなどにより変更されることがあります。常に最新情報を確認するよう心がけましょう。
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**自己学習:**ユーザーはターミナルを通じてシステムと対話し、様々なタスクを効果的に実行できます。ターミナルは強力なツールですがそれを使用するユーザーの知識と経験に依存します。新しいコマンドやテクニックが常に存在し、知識を拡張するためにコミュニティフォーラムや教育リソースを利用することが重要です。
よくある質問(FAQ)とトラブルシューティング
質問 | 回答 |
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Q1. ターミナルでコマンドを入力しても反応がないのはなぜですか? | コマンド入力後に Enter キーを押していますか?また、コマンドのスペルミスがないか、半角で入力されているかを確認してください。 |
Q2. rm コマンドでファイルを削除してしまいましたが、元に戻せますか? | rm コマンドで削除したファイルは、基本的にゴミ箱には入らず、復元が非常に困難です。重要なファイルは事前にバックアップを取るようにしましょう。 |
Q3. ターミナルで日本語を入力すると文字化けするのですが、どうすればいいですか? | ターミナルの文字エンコーディング設定が原因の可能性があります。多くの場合、設定を「UTF-8」に変更することで解決します。お使いのターミナルの設定画面を確認してみてください。 |
Q4. cd コマンドでディレクトリを移動できません。原因は何でしょうか? | 指定したディレクトリが存在しないか、ディレクトリ名のスペルミス、または大文字・小文字の区別が間違っている可能性があります。ls コマンドで正しいディレクトリ名を確認してみましょう。 |
Q5. ターミナルの背景色や文字色をカスタマイズすることはできますか? | はい、ほとんどのターミナルアプリケーションは、設定から背景色、文字色、フォントなどを自由にカスタマイズできます。お好みの設定に変更して、より快適な作業環境を構築できます。 |