Bambu Lab P1S レビュー|1ヶ月30ロール使って分かった メリット と デメリット 【マルチカラー3Dプリンター】

投稿: 2025/10/4
3Dプリンタ

Bambu Lab P1S レビュー|1ヶ月30ロール使って分かった メリット と デメリット 【マルチカラー3Dプリンター】

はじめに

3Dプリンターの世界で注目を集めているBambu Lab P1S + AMS。本記事では、実際に1ヶ月間連続稼働させ、1kgフィラメント30ロール(合計30kg)を使用した実体験をもとに、メリット・デメリットを正直にレビューします。特にマルチカラー印刷における実用性と注意点について詳しく解説します。

  • 画像(作業中) p1s_outputx1

1.使用環境

  • 機種: Bambu Lab P1S (AMS付き)
  • ノズル径: 0.4mm(標準)
  • ソフトウェア: Bambu Studio(標準スライサー)
  • 使用期間: 1ヶ月連続稼働(電源を切らず運用)
  • 使用量: 1kgフィラメント30ロール(合計30kg)
  • 印刷内容: AMS機能を使い、同じ素材・同色のフィラメントで連続印刷
  • 印刷物: ロボットのボディパーツ
  • 印刷速度: 純正スライサー プリセットと同じ
  • 材料(フィラメント): Polymaker - PolyTerra PLA 1kg 白 1.75mm径
  • 購入時期: 2025年6月下旬ごろ
  • 価格: 本体+AMS セット 定価約14万円 実売価格約12万

bambu lab p1s

2. 1ヶ月間連続稼働の結果

  • トラブル:

    • 大きな印刷トラブル無しで稼働
    • 購入時に付いていた0.4mmノズルを使用したが、ノズル詰まりも無かった
    • 機械トラブルとしてAMSのPTFチューブの中でフィラメントが折れ、エラーメッセージが消えず焦った。
    • ビルドプレートの汚れが蓄積し定着力が少し弱まった(中性洗剤で洗うと復活)
  • 印刷品質(あくまで所感):

    • 30ロール中、失敗という失敗は無かった。
    • 積層ピッチや表面の荒れも若干の低下はした気がするが、気になるほどではない。
    • 怪しいと思われるかもしれないけど、途中で印刷中断することもなく、失敗は無かった。
    • 細かいディテールも必要十分な精度で再現されていた。
    • パーツ同士の嵌合も十分なクオリティだった。
    • 品質のばらつきも特に感じられず、安定した出力が得られた。
  • 画像(出力サンプル) p1s_outputx1

3. 初期セットアップ

  • 箱から出して印刷開始までの時間
    • 早くて15分。ゆっくりやって1時間ほどの印象。
  • セットアップの難易度
    • 私の場合、取り付け部品不足とのことで、説明書の無い別のクオリティが良い部品が入っていたが、その取り付け部品をどう付ければ良いかわかりづらく、若干戸惑った。
    • Wifiつなぐ・アプリを入れるなどはスムーズ。

Bambu Lab P1S + AMSの特徴・マシンスペック

特徴

  • すぐに使える、15分でセットアップ完了
  • 筐体付き、高温素材までも多様なフィラメント対応
  • AMSを最大4台接続、16色のマルチカラー造形が可能
  • ハードウェアとソフトウェアが高い完成度
  • 最大20,000 mm/s²の加速度、ベンチィを18分で印刷
  • リモート監視とタイムラプス撮影が可能な内蔵カメラ
machine specDescription
最大造形サイズ (WxDxH)256 x 256 x 256 mm³
ノズル径0.4 mm(標準装備、交換可)
ノズル最高温度300°C(必須:高温フィラメント対応)
ビルドプレートフレキシブルPEIプレート(磁石式、両面テクスチャ/スムース、必須:着脱・メンテ性)
ビルドプレート最高温度100°C(必須:定着性・反り防止)
フィラメント直径1.75mm
ヘッド最大移動速度500 mm/s
ヘッド最大移動加速度20 m/s²
対応フィラメント推奨:PLA, PETG, TPU, PVA, PET, ABS, ASA
非推奨:PA, PC
チャンバー監視カメラ1280 x 720 / 0.5fps タイムラプス(必須:遠隔監視)
フィラメント切れセンサー有り(必須:自動検知)
自動ベッドレベリング有り(必須:Z軸オートキャリブレーション)
ノズル自動クリーニング有り(必須:パージ・ワイプ)
P1S 本体寸法389 x 389 x 458 mm³
本体重量12.95kg
総重量(AMS含む)21.60kg

Bambu Lab P1S + AMSのメリット・便利な点

1kgフィラメント30ロール(合計30kg)印刷した他にも、マルチカラーも使用した上で、正直な感想をレビューします。

1. AMSによる連続運転・夜間出力時の失敗軽減

今回、全て同色・同種類のフィラメントを使用した。Bambu Lab P1SのオプションであるAMSを使用することで、4ロール分のフィラメントを手作業で交換せずとも、自動的に補充されるため、フィラメント切れの心配がなく、長時間の連続運転や、夜間出力時に無人で安心して稼働させることができた。また、残り少なくなったフィラメントも無駄なく最後まで使い切ることができた。

2. 驚異的な安定性と信頼性

1ヶ月間電源を切らずに連続稼働させ、30ロールものフィラメントを消費しましたが、大きなトラブルが発生しませんでした。 この安定性は、商用利用や大量生産を考えている方にとって非常に重要なポイントです。

3. 純正部品使用による高い安定性

社外品の消耗品を使わず、純正部品を使用することで、トラブルが少なく快適に使用できました。初期投資は多少高くなりますが、長期的な安定性を考えると純正品の使用がおすすめです。

4. プリセット活用で簡単設定

純正フィラメント、またはBambu Studioにプリセット登録されているフィラメントを使用すると、設定が非常に楽です。スライス条件や設定もプリセットを使っていれば、必要十分なクオリティで出力されます。

5. メンテナンスフリーな自動化機能

細かい設定や調整がほぼ不要で、手間がかかりません:

  • 自動レベリング機能: ベッドの水平調整が自動
  • ノズル先の自動清掃: 印刷前に自動でノズルをクリーニング
  • フィラメントのタレ処理: 印刷開始時のノズルから出るフィラメントのタレを拭く必要なし

これらの自動化機能により、初心者でも高品質な印刷が可能です。


Bambu Lab P1S + AMSのデメリット・困った点

1. パージによるフィラメントの無駄

マルチカラー印刷の最大の課題はパージ(purge)によるフィラメントの消費です。

パージとは?

パージとは、ノズルやホットエンド内の古い色や異物を押し出して、新しいフィラメントに置き換える動作です。マルチカラー機構では色切替時に必須で、その際にノズルから余分な溶けたフィラメントが吐出されます(通称「ウンチ」)。

  • スタート直後や、カラーチェンジのたびにパージが必要
  • 頻繁なカラーチェンジが発生すると、フィラメントを無駄に消費
  • パージの際、毎回背面から溶けたフィラメントが排出される

2. 頻繁なカラーチェンジ時の時間ロス

  • 色の変更が頻繁に発生すると、フィラメントの入れ替えに毎回時間がかかります。
  • 大量の色数を使用する複雑なデザインでは、印刷時間が大幅に延びる可能性があります。

3. 騒音問題

  • プリントスタート時のレベリングなどの自動調整音がうるさい
  • 動作音もそれなりにうるさく、同じ部屋にいるとストレスを感じる
  • 強度の低いテーブルなどに置くと、振動で机が結構激しく揺れる

デメリットへの対策

パージの無駄を減らす方法

  1. 複数個まとめ印刷: プリント時に複数個まとめて印刷することで、1個あたりのパージの無駄を相対的に下げれます。
  2. 色数を最小限に: 必要最小限の色数で設計することで、フィラメント入れ替えの手間と無駄を削減

騒音・振動対策

  1. 防振ゴムの使用: 機器の下に防振ゴムを敷く
  2. 重い台に設置: 頑丈で重量のある台に設置して振動を抑える
  3. 防音ボックスの活用: 防音ボックスを使用するか、別室に設置する
  4. 置き場所の工夫: 寝室やリビングを避け、作業部屋や倉庫などに設置

まとめ:Bambu Lab P1S + AMSはこんな人におすすめ

おすすめできる人

  • 安定性と信頼性を重視する方: 1ヶ月間トラブル無しで稼働した実績
  • メンテナンスの手間を省きたい方: 自動化機能が充実
  • 純正品で安心して使いたい方: プリセットと純正部品の組み合わせで快適
  • 初心者から中級者: 細かい設定不要で高品質な印刷が可能

注意が必要な人

  • マルチカラーで複雑なデザインを頻繁に印刷する方: パージによる時間とフィラメントのロスが大きい
  • 静音性を重視する方: 動作音と振動対策が必要
  • 同じ部屋で作業する方: 騒音がストレスになる可能性

総評

  • Bambu Lab P1Sは、安定性と自動化機能に優れた、非常に完成度の高い3Dプリンターです。特に純正部品とプリセットを活用することで、初心者でも高品質な印刷を簡単に実現できます。

  • マルチカラー印刷におけるパージの問題や騒音は気になる点ですが、対策を講じることで十分に実用的です。1ヶ月間30ロールを使用してもトラブル無しだった信頼性は、他のプリンターにはない大きなアドバンテージと言えるでしょう。

  • 3Dプリンター初心者から中級者で、安定した印刷環境を求める方には、自信を持っておすすめできる一台です。


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